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 アメリカ人は戦争が好きな国民なんだ・・・という言説が日本のマスメディアをはじめ巷に溢れたのは、確か湾岸戦争の頃ではなかったかと思う。今でも、「アメリカ人は戦争が好きなんだ」というイメージを抱いている日本人は案外多いのではないのかと思われる。
 しかし、私に言わせれば、この「アメリカ人は戦争好きな国民」なのだというイメージは、極めて浅はかで、愚かなものである。この言説の背後にあるのは、75年間も米国の保護国として自らの防衛をないがしろにし、米国の覇権秩序の下で、ひたすら平和と繁栄を謳歌してきた日本人の病理に深く根ざしているということができる。
 そうした日本人の間には、軍事や防衛などの汚れ仕事は、米国民のような「戦争好きの国民」にまかせ、自分たち「平和愛好国民」たる日本人は、「話せばわかる外交」に徹すべし・・・との心性がよこたわる。
 だが、こうした永年抱いてきた日本人の心性に冷水を浴びせる事態が米国に起こった。殆どの日本人が予想できなかったドナルド・トランプの大統領当選である。トランプのスローガンは「アメリカン・ファースト」である。このことは一体何を意味するのか?
 「アメリカン・ファースト」とは、1930年年代の米国のローズベルト外交に反対して、「極東の戦争に介入するな。」「米国の外交は中立主義に徹すべし」とする「アメリカ第一委員会」の主張でもある。
 ということは、トランプの目指す外交ー軍事・防衛政策のねらいは、1930年代の「中立主義」の時代へと米国を引き戻すことにあるのではないのか。トランプは、米国は世界の警察役を降りると言い出している。つまり、米国は、覇権国家の座を放棄しようとしている。もはや、米国には、覇権国家として君臨するだけのパワーが衰えてきているということだ。
 以上のことを念頭に、今回のブログでは、第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る米国の戦間期に於ける「戦争と平和」を巡る論調と国民の意識の変化をとりあげることにする。