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 さて、場外乱闘はこのくらいにして、再びリング上に戻ることにしよう。
 現在、中国共産党の独裁政権下では、内モンゴル自治区のモンゴル人に対して、モンゴル語を取り上げ、中国語が強制されるなど、モンゴル民族は衰亡の危機にたたされている。揚海英氏によると、かの文化大革命時代、内モンゴル人にたいして、大規模なジェノサイドが加えられた生々しい報告がなされている。※揚海英氏による報告書は、分厚いもので、モンゴルの人々に対する強姦・拷問・虐殺の事例が多数記述されている。写真は第8集である。私の考えでは、中国のこうした非人間的行為の源流を「通州事件」に見出すことができる。ただ、この事は、中国共産党=毛沢東主義固有のものなのか、それとも、「アジア的停滞」(ヘーゲル・マルクス)によるものなのかは、検討の余地がある。
 実は、日中戦争期に、日本はこの内モンゴルに対して独立を支援していたことが、ラジオの「ニュース解説」から分かる。以下、概要を紹介しよう。
 
 「蒙古軍と徳王」昭和12年8月25日(「放送ニュース解説8」p51~53)

 徳王の率ひる内蒙古軍は察北(チャハル省の北部地域)於て、張北を中心にこの方面へ進出して来た支那中央軍並に共産軍に対し攻撃を開始し、日本空軍の空爆の支援もあってこれを撃退した。

 蒙古民族は、これまで南京政府によって非常な圧迫を受け、このままでは滅亡の道を辿る外ない状態にまでなった。そこで徳王は、蒙古民族の復興のために決然として起ちあがり、昭和八年頃から蒙古民族の自治運動は起こされたのだった

 徳王は、蒙古王族の出で幼時から北平天津に留学し、世界の大勢に通じた蒙古人中の知識である。惨めな生活を送っている蒙古民族を救うことこそ自己に与えられた使命であると自覚した徳王は、如何なる方法によることが真の道かを考察した。結論は、外蒙古の民衆がソ連によって極めて悲惨な状態におかれているという事実を見聞し、また、満州国の躍進ぶりを目にし、共産党を排撃して蒙古民族による自治以外に方法はないという結論に至った。かくして民族自救のために起き上がった徳王は、蒙古軍政府を樹立することとなった。

 この蒙古軍政府にあって徳王を助け、軍の大将たる人が李守信である。この李守信も生粋の蒙古人で徳王が政治外交の手腕に秀でているのに対して、李守信は軍事に卓越した手腕を示し全軍の信望をその一身に集めている。

 今や蒙古人は自らの力に信頼し着々発展の途を辿っている。かつて時代を席巻したヂンギスカンの血は今もこの民族の中に脈々と流れている。我々大和民族と多くの点に於いて似通った特質を持つ蒙古民族の将来、並びに蒙古自治運動の将来こそはけだし注目すべきものがあろう。

 「新興途上に在る満疆地方」昭和13年6月28日放送(「放送ニュース解説29」p3~5) 
 
 昨年秋、蒙古三百万民衆の総意に基づいて成立した、蒙古連盟自治政府は、その後政治に経済に、各方面に亘って驚異的な躍進をつづけている。その政府主席は、雲王が逝去して以来空席となっていたが、来る七月一日に蒙古大会を開いて後任主席を推戴することになった。後任主席には現副主席の徳王が推戴され、副主席には現総司令李守信将軍が推されることになっている

 事変をきっかけとして内蒙復古運動は完全に実を結び、今や内蒙古は全く面目を一新して、驚異的躍進をつづけている。

 蒙彊三自治政府(察南・晋北・蒙古)は、利害関係を同じくし、共同の目的を達成するため、金融、産業、交通の三つの委員会を以つて彊連合委員会が組織されている

 こうした事実は、今の日本人にはあまり知られてはいない。もちろん、NHKを始めは、日本のテレビは一切取り上げようとしない。日中戦争期の歴史の見直しが必要ではないか